白い蚊取り線香

0
4

具合が悪く、寝込んでいた幼いころ。祖母がお見舞いに来てくれた。神経質そうに戸締りをし、薄紫色の風呂敷包みから大事そうに何かを取り出した。枕元にそっと置かれた。それは白い蚊取り線香だった。祖母がマッチで火をつけると、ヒノキの香り。煙がただよい、しだいに部屋の中がもやがかってきた。
ぷううんと羽音がちかづいてくる。
「安心しておやすみ」
私のおでこに置かれた祖母の手。
その手ひんやりと心地よく、眠りに誘う。

大人になった私は、今祖母を看病している。
ふと蚊取り線香のことを思い出し、目を覚ました祖母にたずねた。
代々お祀りしている神様の眷属を呼び出すお香。
血の代わりに病気を吸って元気にしてくれるが、使いすぎると神かくしに遭うらしい。

祖母が眠る部屋の戸棚。その隅にひっそりとそれはあった。薄紫色の風呂敷を広げて、祖母の枕元に置く。

病気か祖母がなくなるよう、願いを込めてマッチをすった。
ファンタジー
公開:18/09/12 12:59
スクー

富田京子

400文字に収めることと、思いついたアイデアを形にするむずかしさに苦戦しております。
くすりと笑って頂けたら、幸いです。
よろしくお願いいたします。

画像をアップロードするのを失敗しまくりました_:(´ཀ`」 ∠):
いまだに、使いこなせておりません。
携帯を壊して、しばらくこれませんでした。
すみませんm(_ _)m

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容