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9月。私は久し振りに実家に帰ることにした。知らない家がいくつも建っていたが、森や川はあの頃のままだった。実家までもうすぐだ。と、眼鏡橋で観光客を見つけた。昔からある古い石橋だ。それが今やパワースポット。夜にはライトアップまでされるらしい。確かに水面に写った石橋は眼鏡に見えなくもないけれど、3つもアーチがあるのになんで眼鏡橋?人間の目は3つもない。
うっかりカメラに写り込まないように観光客に気を配りながら石橋を渡る。橋の中央まで来ると、涼しい秋の風が私の髪を揺らした。懐かしい匂いに思い出が蘇る。近所の子供達と暗くなるまで遊んだっけ。トンボを追いかけたり、ドングリを集めたり。
橋を渡って住宅街を通り過ぎ、森の中に入る。道なき道を歩いてようやく石の門まで辿り着いた。私は呪文を唱えて石を動かす。
「ただいまぁ」
150年振りに帰った私を出迎えた母は3つの目を懐かしそうに細めた。
「おかえりなさい」
うっかりカメラに写り込まないように観光客に気を配りながら石橋を渡る。橋の中央まで来ると、涼しい秋の風が私の髪を揺らした。懐かしい匂いに思い出が蘇る。近所の子供達と暗くなるまで遊んだっけ。トンボを追いかけたり、ドングリを集めたり。
橋を渡って住宅街を通り過ぎ、森の中に入る。道なき道を歩いてようやく石の門まで辿り着いた。私は呪文を唱えて石を動かす。
「ただいまぁ」
150年振りに帰った私を出迎えた母は3つの目を懐かしそうに細めた。
「おかえりなさい」
ファンタジー
公開:18/09/13 00:21
更新:18/09/13 00:58
更新:18/09/13 00:58
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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