「甲羅」

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カメが極寒の地で散歩していると、オットセイがやって来ました。
「おや、これは珍しい。カメじゃないですか。こんな寒いところで何をしているのです?」
「いやぁ、ちょっとした行楽ですよ。いつもノロマだの何だの言われていますからね。こう見えて行動的なのです」
「なるほど。しかし寒くないですか?」
「甲羅を背負ってますから。これ以外と暖かいのですよ」
「そうは言っても、ここは氷点下ですよ? 凍ったりしないのですか?」
「えぇ。私の甲羅は特別仕様なのです」
「ほぅ。どんな風に?」
「凍らないのです」
「それは凄い!」
そう言うと、オットセイはカメから甲羅を奪ったのです。
「こらっ!」
カメは甲羅を手に逃げていくオットセイを追い掛けながら「落とせ! 落とせ!」と願いました。
そんな願いが届く事もなく、オットセイはカメの視界から消えたのでした。
こうして甲羅ないカメは、極寒の地に凍らされてしまったそうな。
その他
公開:18/09/12 21:57

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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