ミステリーツアー

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「他では味わえないスリル!」が売り文句の二泊三日ミステリーツアーに男は参加した。
他の参加者は八人。ガイドがおらず、行けばわかると不愛想な運転手に言われ頭をもたげたやめときゃよかったという思いは、けれど山奥の洋館へ到着するや消え去った。澄んだ空気、立派な建物、使用人に扮する教育の行き届いた従業員。
どれも素晴らしく、ならばこれもと期待していた夕飯時、鋭い悲鳴が響いた。
参加者のひとりが刺殺体となって見つかったのだ。
「僕は探偵です」
悲鳴を聞きつけ他の部屋から現れた不精な形をした男が、そう言って慣れた様子で立ち回る。館は孤立状態だった。スマホは圏外、電話線が切られ、パンクして車も使えない。
まるでミステリー小説かよ。
頭を抱えた男がそこで、ツアーの意味に気付く。
"ミステリー"で死者が一人はありえない。事件は続く。探偵が解決するまでは。
俺は、どうなる?
皆の顔を見渡し、身体が震え始めた。
ミステリー・推理
公開:18/09/12 21:00

みなみ

はじめました。はじめまして。

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