蛇の神様

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昔々、白蛇がいました。
その蛇の家系は代々修行をして龍神様となり、村を守ることを義務付けられていましたが、白蛇にはさっぱり才能がありませんでした。
龍の祖父や父は毎日一緒に火を吹いたり空を飛んだり結界を張る練習をしてくれましたが、白蛇は喉が弱く火を吹けず、運動神経が悪く空を飛べず、絵が下手過ぎて結界を張れませんでした。
白蛇は悲しい気持ちになっていきました。

ある年、村を日照りと干ばつが襲いました。
水は干上がり作物は枯れ、村人は苦しみました。
龍の火も結界もまるで役に立ちません。
白蛇は何もできない自分の無力さにわんわん泣きました。
するとどうでしょう。
流した涙は雨となり、村に降り注ぎました。
池は水を取り戻し、生き残った作物は実り、救われた村人は雨乞いの神様として白蛇を社に祀りました。

その地域では今でも秋の始まりには大雨が降り、楽しそうに天を舞う小さな白い龍を見かけるそうです。
その他
公開:18/09/10 17:00
更新:18/09/10 17:01

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

登場することが趣味です。

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