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「いらっしゃい。何をお探しで?」
店主らしき白髪の女性がぬっと店の奥から出てきた。
「あたし、執着ってものがないんです。だからいいご縁も逃しちゃって…」
「それなら、今朝仕入れたばかりのいいやつがありんすよ、ひひひ。」
手渡されたのは異臭に近い匂いのお煎餅。
ねばっこく糸をひいている。
「手にくっつく…やばい。これはもはや接着剤レベルのような…」
「執着のせんべいですのよ、ひひひ。」
ヒトの執着を吸収しているお煎餅は、舌触りも味も強烈で食べたあとには執着心が植え付けられるらしい。
客は商品をもぎとり、店から出ていった。
二日たったある日。
客は涼やかな顔でひとり颯爽と街を歩いていた。顔も容姿も晴れやかで別人のようだ。
「執着心があまりに強いとおせんべいの執着と相殺されてすべすべな心になるんですわ」
むしゃむしゃと糸ひくお煎餅を食べながら店主はひひひと笑った。
店主らしき白髪の女性がぬっと店の奥から出てきた。
「あたし、執着ってものがないんです。だからいいご縁も逃しちゃって…」
「それなら、今朝仕入れたばかりのいいやつがありんすよ、ひひひ。」
手渡されたのは異臭に近い匂いのお煎餅。
ねばっこく糸をひいている。
「手にくっつく…やばい。これはもはや接着剤レベルのような…」
「執着のせんべいですのよ、ひひひ。」
ヒトの執着を吸収しているお煎餅は、舌触りも味も強烈で食べたあとには執着心が植え付けられるらしい。
客は商品をもぎとり、店から出ていった。
二日たったある日。
客は涼やかな顔でひとり颯爽と街を歩いていた。顔も容姿も晴れやかで別人のようだ。
「執着心があまりに強いとおせんべいの執着と相殺されてすべすべな心になるんですわ」
むしゃむしゃと糸ひくお煎餅を食べながら店主はひひひと笑った。
ファンタジー
公開:18/09/10 14:56
更新:18/09/10 15:01
更新:18/09/10 15:01
不思議な店主さん
✿〜・言葉をあつめて花束を・〜✿
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