乙女なスー

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都会産まれで他の世界を知らないメスゴリラのスーには悩みがある。体がごっついことだ。どう見渡してもスーより体のごっつい動物はいない。左上の檻には鹿のランが見える。彼女のスラリとした華奢な脚を見るたびにため息が出るのだ。羨ましい。右下の檻には憧れのライオンのケンが居て、ケンはいつも鹿のランを見ている。「そりゃあれだけキレイな脚をしていたら見るわよね」とスーは悲観的になっていた。
メスゴリラのスーの檻にはジョーというオスゴリラがいる。ジョーの肉体美は素晴らしく園内のメスたちは彼の虜となっている。スーも他のメスたちから「羨ましい」「変わってほしい」などの声を聞き、内心「いつでもどうぞ」と思っていた。現実を見れば羨ましい限りのジョーの独占は最高の賞賛に値するかもしれない。しかし理想はライオンのケン。でもこのごっつい脚ではケンの心を鹿のランからは奪えない。理想と現実の狭間で悩む乙女なスーであった。
ファンタジー
公開:18/09/10 14:10

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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