ワンワン！

ある日、大きな犬が神様の所へやってきた。
「近所の猫やネズミ、他の動物から、鳴き声が怖いと言われました。そもそもワンワンという鳴き方が威嚇的だ、パワハラだと訴えられています。私は控えめに鳴いてるつもりですが、そうは思われないようです。だからもっと可愛い鳴き方に変えてください」
神様は答えた。
「うーむ、それは番犬としてのお前のアイデンティティに抵触するような気もするが、望みとあらば仕方ない。では、ニャウニャウとか、チュイチュイにしてみるかね」
「それではパクリだと言われます」
「リスペクトと言えば良いのではないか？」
「色々面倒なので、やはりオリジナルな鳴き方がいいです」
神様はその犬の願いを聞き入れて下さった。

その晩、大きな犬の家に泥棒が入った。気配に飛び起きた犬は思い切り吠えた。
「ぴるっき！ぴるっき！」
「な、なんだ、こいつ？！」
「ぴるきききょ〜ん！」
泥棒は一目散に逃げた。