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私のカレは漫才師だ。
春風あかんこはん。ボケのあかんが今のカレで、相方のこはんが元カレだ。
漢字にすると阿寒湖畔で、ひどくお寒いふたりだけれど、スベる感じがうけている。いわゆるスベり芸というもので、スベったあとの独特な間に、私はいつもうっとりとする。
肌寒い秋がきて、もうすぐ私は捨てられる。
あかんと付き合って5年。
トレーナーとスウェットの立場の違いだとか、ちくわぶのちくわへの思いだとか、彼から学んだことは多い。
毎日がとてもくだらなくて、飽きなくて、私は幸せだった。
時の流れは残酷だ。
ゴムは伸びきって、ほつれた糸が悲しい。
私はこはんの寝巻だった。いつのまにかあかんに穿かれて、そのままあかんのモノになった。
略奪。寝取られ。そんな風に言われたこともある。でも私たちは確かに愛しあった。
短パンの季節は終わり、もうゆるゆるではいられない。
彼の手にはユニクロ。
私は後輩芸人に貰われた。
公開:18/09/11 12:44
更新:18/09/25 02:17

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