ずっと一緒に
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同僚のA君が時間停止ボタンを手に入れた。
一度しか使えないそれで、彼は妻の時間を止めたという。
面食らう僕に、A君は幼い頃両親を亡くして以来、愛する人間を失うのが怖いのだと苦笑した。
「それで、いつ解除するんだい?」
「あと数年もしたらボタンを押すさ。そうすれば姉女房も僕より早く死ぬことはないだろう」
それから三年後のある晩、A君の訃報が飛び込んできた。交通事故で即死だったそうだ。
悲しみに暮れる僕は、例の装置を思い出して彼の家を訪ねてみた。
――果たして彼女はリビングルームで石像のように立ち尽くしていた。
A君はこの固められた微笑みを毎日愛でていたのだろうか。
どこかやるせない気持ちのまま、僕はテーブルの上のボタンに手を伸ばした。
一度しか使えないそれで、彼は妻の時間を止めたという。
面食らう僕に、A君は幼い頃両親を亡くして以来、愛する人間を失うのが怖いのだと苦笑した。
「それで、いつ解除するんだい?」
「あと数年もしたらボタンを押すさ。そうすれば姉女房も僕より早く死ぬことはないだろう」
それから三年後のある晩、A君の訃報が飛び込んできた。交通事故で即死だったそうだ。
悲しみに暮れる僕は、例の装置を思い出して彼の家を訪ねてみた。
――果たして彼女はリビングルームで石像のように立ち尽くしていた。
A君はこの固められた微笑みを毎日愛でていたのだろうか。
どこかやるせない気持ちのまま、僕はテーブルの上のボタンに手を伸ばした。
SF
公開:18/09/11 01:27
更新:18/09/11 01:29
更新:18/09/11 01:29
小説を書いては新人賞に応募しています。
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