いつもの一杯

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俺の行きつけであるラーメン屋に長蛇の列が出来ていた。ごく普通のラーメンで行列の出来るような店ではない。
何が起こった? 並ぶのは面倒臭いが気になる。店のオヤジに行列が出来ている理由を聞かねば。

一時間後。暖簾をくぐったところでオヤジに声をかける。
「おやじぃ、この行列は何事だ?」
「お、いらっしゃい! 行列って何だい? 見ての通り閑古鳥が鳴いてるよ」
「は? おかしいでしょ? 席も埋まってんじゃん」
俺が指さした店内を見て、オヤジの表情が曇る。
「お前さん、どーりで最近見ねぇと思ったら……」
「ん?」
「あちらのお客さんから、あちらのお客さんまで、みんな……」
オヤジの声を聞きながら、俺は自身の体が薄らいでいく事に気付いた。
面食らった。が、全てを理解した俺はいつものように麺を食らうためカウンターに腰かける。
「おやじぃ、いつもの!」

そのラーメンはいつもより少しだけ、しょっぱかった。
その他
公開:18/09/10 23:53
あちらのお客様から幽霊 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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