時計塔には魔女がいる

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東の時計塔に魔女がいる。それはこの村に昔からあるお伽話。不死の研究をしているうちに、時間に囚われた悪い魔女。僕はでまかせを暴きに時計塔にいった。なのに時計塔のてっぺんで、僕は魔女に出会ってしまった。若くて綺麗な女の人で、大きな天球儀の前の空中で腰掛けていた。
僕に少し驚いた後に、魔女はニヤリと笑った。
「こんにちは、勇者様。おやつはいかが?」
甘い香りのケーキとジュース。戦士に腹ごなしは大事だと僕は甘んじて受け入れた。
「時間の研究をしているんだ。今日は明日に進むばかりじゃないんだよ」
魔女は面白かった。優しかった。毎日会いにいった。すぐに気がついた。魔女は若返っていった。大人から少女へと。
「何度も成長を繰り返す呪いさ」
笑っていても声が震えてる。彼女が縮む。退行に抗えず、幼くなる。
「怖い、なんて冗談さ」
忘れていく彼女が切なくて、抱きしめてあげたその夜、彼女は幾度目かの0才を迎えた。
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公開:18/09/08 20:07
忘れないで

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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