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「あっ!」
パチン。僕はすかさず自分の左腕を右手で叩いた。
「カ?」と母。
「そう、カに刺された。」
「かににさされたのぉ?」と4歳の弟。
「そうだよ、カに刺されたの。」
「えーっ、カニに刺されたの?」
「そう、カに。」
「えー、カニって刺すんだー。」
「そうだよ、カは人の血を吸う。」
「見せて見せてー。」
そう言うので腕を突き出すと、そこには真っ赤な平べったいものが僕の汗でべしょべしょになって貼り付いていた。
「カニってやっぱり赤いねー。」
「カニじゃなくてカな。…ん?」
よく見ると、その平べったい体はカニの甲羅にも見えた。そこから生える4対の脚と、汗で潤けて体から取れた2本の鋏。えびせんに入ってるやつに似てると思ったら、エビもカニも甲殻類じゃないか。
「あ、カニー。」
弟の膝にも、翅の付いたカニが乗った。
そういえばこいつはまだ海行ったことないな。暑すぎた夏が、もう終わる。
その他
公開:18/09/08 19:07
更新:24/02/28 19:05

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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