その足跡は、過去か未来か

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朝起きると、足跡があった。
ベッドから足を下ろすと、不思議なことに足跡とぴったり重なる。
どうやら足跡は、外まで続いているらしい。
充電器に繋ぎ忘れた携帯は、朝のアラームを告げることはない。
ただの小箱と化したソレを、パジャマ代わりのスウェットに滑り込ませる。
気がつけば、足跡を辿って歩きだしていた。

朝日が街を薄ぼんやりと照らし、風が街路樹をサラサラと鳴らす。
街は不思議な程に静かだった。
「こんなにも綺麗な街だったのか」
この街に来て10年弱、初めてまともに街を見た気がした。

足跡の終着点は海のようだった。
「なるほど、ここが私の終着点か。」
スッキリとしたような、悲しいような不思議な気持ちだった。

ふと足元を見て気がついた。
どうやら海の上にも群青色の足跡が続いているらしいのだ。
「おや?終わるには少し早かったか」
喚く煩い小箱をポケットから放り出すと、海を歩いて足跡を辿った。
ファンタジー
公開:18/09/08 18:41
更新:18/09/09 09:25

mono

思いつくまま、気の向くまま。
自分の頭の中から文字がこぼれ落ちてしまわないように、キーボードを叩いて整理整頓するのです。

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