なあ俺もう顔射モノじゃイケないんだよ

地球から6億2830万km離れた木星の第2衛星エウロパ。
3年前の探査で訪れたとき俺はほとんどを船内の研究室で過ごした。俺たちはエウロパの海で採取したサンプルから、史上初の地球外生命体となる細菌を発見した。
そして事件は起きた。
探査艇の整備をした何人かが突然苦しみ、その被害は拡大した。付着していた細菌に毒性があったのだろう。
当然完全防備であったとはいえ未知の毒性物質を防ぐことはできなかったのだ。このままでは全員が死んでしまう。無事なのはおそらく俺と、同じ研究者の女性だけ。幸い彼女がこの細菌用の殺菌溶液を完成させていた。
それをサンプルにぶちまけると水は白く変色し次の瞬間爆散した。
目に映るのはどろりとした白濁の液体を全身に浴びた俺と彼女。
地球に帰還し、隅々まで検査され、今では口止めとして毎月大金が振り込まれる生活。あんな思いは二度とごめんだ。
あれ以来、俺は自分の精液を見るのも怖い。