6
14
寝ぼけながら歯磨きをしていると尿意を感じた。小便をしに洗面所を離れ、口をゆすぐために再び洗面所に戻った俺はふと鏡を見て驚き、口の中に溜めていた泡立つ歯磨き粉を勢いよく鏡にぶちまけてしまった。
そこには、恐ろしい形相の女が映っていたのだ。
「お前、誰だ!」
狼狽する俺に、歯磨き粉まみれの幽霊は言う。
「ひどい……」
呆然とした表情で、女はゆっくりうつむくと泣き出した。
「これじゃもうお嫁にいけないです」
しゃくりあげ、子どものように泣く幽霊に俺は困ってしまった。恐怖心は既になかった。
「あの、ごめんな。責任とって俺がもらってやるから」
「本当ですか!」
目を見開き、顔を上げた女が鏡越しに顔を近づける。よく見れば口も舌も裂けていた。
「嘘ついたら呪いますからね」
泣いたせいか元からか、赤く充血した窪む目を柔らかく細めた女霊は、今も鏡に住んでいる。
綺麗ではないが「お帰り」の声が優しい俺の嫁だ。
そこには、恐ろしい形相の女が映っていたのだ。
「お前、誰だ!」
狼狽する俺に、歯磨き粉まみれの幽霊は言う。
「ひどい……」
呆然とした表情で、女はゆっくりうつむくと泣き出した。
「これじゃもうお嫁にいけないです」
しゃくりあげ、子どものように泣く幽霊に俺は困ってしまった。恐怖心は既になかった。
「あの、ごめんな。責任とって俺がもらってやるから」
「本当ですか!」
目を見開き、顔を上げた女が鏡越しに顔を近づける。よく見れば口も舌も裂けていた。
「嘘ついたら呪いますからね」
泣いたせいか元からか、赤く充血した窪む目を柔らかく細めた女霊は、今も鏡に住んでいる。
綺麗ではないが「お帰り」の声が優しい俺の嫁だ。
ファンタジー
公開:18/09/08 03:22
生まれ変わったらジンベエザメになりたい。
Twitter@hrpkrybook
お問い合わせ
hndk.ak@gmail.com
使用写真はすべて自分で撮影しています。
ログインするとコメントを投稿できます