週刊 自分を作る

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「週刊 自分を作る」は、毎号、強靭な交換パーツがつき、世代と時代とに則した特集記事と、交流イベント企画の充実した冊子だった。
「1050号 定年まで勤めよう」のおかげで、1万2千円のこの冊子を定期購読し続けるのに不自由はない。「1311号 失敗しない結婚」で知り合った妻との間には息子も生まれ、「2300号 親離れ子離れ」を実践したおかげで、あいつも都会で一家を構えている。
 本当によい冊子だ。 
 だが「2094号」の肩の交換パーツの動きに違和感があって問い合わせ、「仕様です」との回答を得てから、冊子の雰囲気が変わってきた。
 パーツの精度は落ちる一方で、記事も「財産分与」「お墓を買う」「終活特集」「心安らかにその時を」といったものに変化した。
「3398号 一人で暮らす」は、妻亡き後の役には立っているが…
 目下、私の楽しみは「週刊 自分を解体する 最終号」をこの手に取ることだけである。
その他
公開:18/09/09 14:06
更新:18/09/09 21:48

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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