白い蚊取り線香【食用】

営業から社に戻ると同僚の田中がなにやらパリポリ食べとった。

「おお川島、おつかれ」
「なんや美味そうやなぁ」
「蚊取り線香や」
「頭おかしんちゃうか」
「頭おかしなりそうやから食うんや」
「せやかて蚊取り線香やろ」
「食用や、知らんのか？食うてみぃ」
よう見たら確かにあの渦の巻いたアレやった、けど色が白い、味はホワイトチョコに似てる。
「なんで食うてんねん」
「腹の虫がおさまらんのや、あいつムチャぶりしやがって腹立つ」
「腹の虫に効くんか？」
「『カ』のつく奴だけ」
「課長やな」
課長も営業から戻ってきた。田中も機嫌が良い。
「ああ田中くん例の企画書は？」
「それなんですが川島くんがどうしてもやりたい言うてますねん」
「はぁ？いや僕はそんなこと、」
「さすが川島、期待してるぞ」
「……あ、はい」
なんか田中、許せる。優しい気持ちになってきた。
田中、タナカ？

しもたっ！煙に巻かれた！