ギフト(天賦の才)

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 天賦の才。それをギフトという。ギフトを授かった者にとって、この世はとても住みにくい。
 幼いころから、かけっこが遅かった。縄跳びも、いつも引っかかっていた。水泳も、泳げないわけではないのだが、いつもスタートが遅いと言われ続けた。ラジオ体操も音楽に合わせることができず、ダンスなんかは最悪だった。
 ある日、縄跳びの練習をしていて、僕はギフトに気づいた。それ以降、「運動音痴」とか「リズム音痴」とか言われても、メゲることはなくなった。それはギフトのせいだと分かったからだ。

 僕のギフト。
 それはジャンプしたり、台から飛び降りたりした時、自分の意思とは無関係に、常人よりも0.何秒かだけ長く、中空に留まってしまう。というものだった。
 高くも、遠くへも飛べない。ただ地面に降りるまでに少しだけ時間がかかるのである。
 進化論的に考えれば、僕のギフトはおそらく、僕限りで途絶えるのだろうなと、思う。
SF
公開:18/09/06 10:49

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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