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                                「キス、してよ」
付き合い始めて一年。彼女に対し「どうして全く手を出そうとしないの? やっぱり女同士だから?」という不満と不安を抱いていた。このままじゃダメだと意を決し、問い詰める。
「ねぇ、どうして何もしてこないの?」
「私……」彼女の口から衝撃的な台詞が吐かれた。
「吸血鬼なの」
「なによそれ。ふざけてる?」
睨み付けると、突然抱き締められた。
「キス、しちゃう?」
「そんなの聞かないでよ」
彼女が耳元で囁く。
「墜ちるわよ」
ふと、線香のような香りが鼻腔を擽った。と、同時に唇を塞がれる。
絡みつく舌が熱い。まるで生気を吸い尽くされるような……あぁ、もう立っていられ、ない。これが腰砕けってやつ?
カクリと膝を折った瞬間、脚にピリッとした感覚が走った。視線を落とした私の瞳に映るものは、破れたストッキングから覗く白い大腿骨。
「美しいわ」
そんな彼女の声に私の三半規管がぐにゃりと、歪んだ。
    付き合い始めて一年。彼女に対し「どうして全く手を出そうとしないの? やっぱり女同士だから?」という不満と不安を抱いていた。このままじゃダメだと意を決し、問い詰める。
「ねぇ、どうして何もしてこないの?」
「私……」彼女の口から衝撃的な台詞が吐かれた。
「吸血鬼なの」
「なによそれ。ふざけてる?」
睨み付けると、突然抱き締められた。
「キス、しちゃう?」
「そんなの聞かないでよ」
彼女が耳元で囁く。
「墜ちるわよ」
ふと、線香のような香りが鼻腔を擽った。と、同時に唇を塞がれる。
絡みつく舌が熱い。まるで生気を吸い尽くされるような……あぁ、もう立っていられ、ない。これが腰砕けってやつ?
カクリと膝を折った瞬間、脚にピリッとした感覚が走った。視線を落とした私の瞳に映るものは、破れたストッキングから覗く白い大腿骨。
「美しいわ」
そんな彼女の声に私の三半規管がぐにゃりと、歪んだ。
        その他
      
      公開:18/09/06 01:11
更新:18/09/06 01:11
    更新:18/09/06 01:11
                  白い蚊取り線香 
                  スクー 
              
    まったり。
2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)
壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)
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                壬生乃サル