セク腹

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「ウヒ、ウヒヒヒ」
ああ、あたしのお腹が目を覚ましたわ。
「おぉ、麗しの我が乙女、今日の下着はピンクですねぇ」
「うっさい!」
「永遠の□◯△てか、△□◯は◯△□で真っ黒でんなぁ。ウヒ」
あぁ、神聖な庭では言語化も許されぬ卑猥な言葉が、次々と飛び出す。
少し前からあたしのお腹に現れた人面瘡。始めは紳士だったのに、しだいにセクハラ発言ばかりになってきた。
恥ずかしいけど医者に診てもらお!

「こりゃセク腹ですナ」
「セク腹?」
「ええ、人面瘡の一種ですが、セクハラ発言以外に実害はないですテ」
聞き流しておけばそのうち無くなる⋯⋯という医者の診断を信じて一切相手をしないようにすると、数週間経った頃にはきれいさっぱり人面瘡は消えてくれた。
ああ良かった。
という安堵も束の間、あのイヤらしい笑い声がまたどこからか聞こえてきた。
「ウヒ、ウヒヒヒ」
ああ、駄目。今度はあたしのヒザが笑いはじめた──。
ホラー
公開:18/09/07 14:20
更新:18/09/17 15:57

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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