あたらしいビジネスモデル

新しいコンタクトを開発するにあたり被験者を募集します。特典は完成品の生涯無料券です。先着50万名様にスターターキットをお届け。

とあるコンタクトレンズ製造会社が発表したこの広告により新商品開発のためのキットは瞬く間に品切れになった。協力するだけで一生コンタクトレンズに困ることが無い。誰もがこぞって応募した。大量の実験データにより新製品はたった３年で完成する事となる。

外部からの光を解析し、脳へと送られる映像を微修正する。この画期的な発想を持ったコンタクトレンズは販売面でも大きな成功を収めることとなった。

ーー20年後。
とある製造会社のシステムがひっそりとその役目を終えた。レンズから送られてくる大量の画像から銀行情報だけを解析するシステム。被験者達は実験データだけではなく開発費までも負担していたのだ。

大丈夫。このビジネスモデルでは被害者自身がその手で証拠を捨ててくれるのだから。