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日曜日。久しぶりに同窓会へ出かけてみた。当時は、楽しく過ごせていたし、友達だっていた。
しかし、進学で地元を離れ、友人と疎遠になった。どうやれば友達ができるのかわからないまま卒業し、ほぼ人と口をきかない職場に就職して10年だ。
同窓会では、思い出話に花が咲いていた。だが、そこに僕の存在はなかった。彼らに悪気はない。会わなかった年月が、僕を薄めてしまっただけだ。そして「思い出」以外に、僕たちを結びつけるものはなかった。
愛想笑いを浮かべたまま中座して、僕はそのまま電車に乗った。
次の日曜日、僕は個別握手会に遠征した。
「ありがとーございます」
「先週、来れなくてさびしかったよ」
「そーだよ。何してたの?」
「同窓会。行ってみた」
「そっか。がんばったんだ」
「でも、やっぱアウェーだった(笑)」
「ホームはここでしょ(笑)」
「うん。そうだね」
これが僕の、握手の理由だ。
しかし、進学で地元を離れ、友人と疎遠になった。どうやれば友達ができるのかわからないまま卒業し、ほぼ人と口をきかない職場に就職して10年だ。
同窓会では、思い出話に花が咲いていた。だが、そこに僕の存在はなかった。彼らに悪気はない。会わなかった年月が、僕を薄めてしまっただけだ。そして「思い出」以外に、僕たちを結びつけるものはなかった。
愛想笑いを浮かべたまま中座して、僕はそのまま電車に乗った。
次の日曜日、僕は個別握手会に遠征した。
「ありがとーございます」
「先週、来れなくてさびしかったよ」
「そーだよ。何してたの?」
「同窓会。行ってみた」
「そっか。がんばったんだ」
「でも、やっぱアウェーだった(笑)」
「ホームはここでしょ(笑)」
「うん。そうだね」
これが僕の、握手の理由だ。
その他
公開:18/09/05 17:39
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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