本のムシ
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ある日、ベッドに巨大なイモムシが転がっていた。
「ぎゃあああ」
震える足で後ずさりすると、イモムシが喋った。
「ああ、ごめん、俺だよ」
イモムシは寝返りを打ち、人の姿に戻った。
「本の虫になってた」
「はあ?本の虫?」
彼は文庫本を手にうなだれた。
「夢中になるとだめなんだよな。誰にも知られないように今まで気をつけてたのに」
恐怖心よりも好奇心が勝った。
「ねえ、どうやったら本の虫になれるの?」
「気づいたらなってた」
「いつから?」
「うーん、一人暮らし始めた頃かな」
「いいな!羨ましい!」
後日、2人で大型書店に行くと、本の虫がたくさんいることに気づかされた。
立ち読みするカブトムシ、検索機の前のムカデ、レジに並ぶハチ、バッタ、テントウムシ…
気づくと彼はチョウチョになっていた。
「あれ?イモムシじゃない」
「機能性重視でね」
そう言うと、彼は書籍の森へと羽ばたいていった。
「ぎゃあああ」
震える足で後ずさりすると、イモムシが喋った。
「ああ、ごめん、俺だよ」
イモムシは寝返りを打ち、人の姿に戻った。
「本の虫になってた」
「はあ?本の虫?」
彼は文庫本を手にうなだれた。
「夢中になるとだめなんだよな。誰にも知られないように今まで気をつけてたのに」
恐怖心よりも好奇心が勝った。
「ねえ、どうやったら本の虫になれるの?」
「気づいたらなってた」
「いつから?」
「うーん、一人暮らし始めた頃かな」
「いいな!羨ましい!」
後日、2人で大型書店に行くと、本の虫がたくさんいることに気づかされた。
立ち読みするカブトムシ、検索機の前のムカデ、レジに並ぶハチ、バッタ、テントウムシ…
気づくと彼はチョウチョになっていた。
「あれ?イモムシじゃない」
「機能性重視でね」
そう言うと、彼は書籍の森へと羽ばたいていった。
その他
公開:18/09/05 12:48
北海道出身です。
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