夢の中で

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窓からの採光も良好で、雨上がりの洗いたいの風が教室のカーテンを穏やかに揺らす。気持ちよくて僕はうたた寝をしてしまった。なんとなく一緒にいた君を置き去りにして。夢と現の中で、僕は君とのひと時の続きを見ている。君は本を読んでいた。ページをめくる所作まで覚えている。
風が吹く。窓越しにおーい、と声が聞こえた。意識だけグラウンドを見る。痩せた黒い影が、陽炎に揺らめきながら手を振っていた。おーい、と声がする。君は本を閉じ、窓の下を見やった。君は手を振り、笑って窓に足をかけた。
冷や汗に僕は飛び起きた。君がいなかった。机の上の本のページが、風にめくれた。窓の下に君はいなかった。だけどあれ以来、君はどこにもいなくなった。
社会人になって、色々あった。残業で疲れて、立ったままうたた寝してしまう。おーい、と懐かしい声がした。見やると、あの日の君が向こう側で手を振っている。僕は笑って手を振り返し、そして……。
ホラー
公開:18/09/05 08:12
夢と現の狭間 どっちが私の世界

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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