台風のあとに

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大型の台風がやってきた。
学校が休みになったから、僕は2階の部屋の窓から、外を眺めていた。雨が窓ガラスをじゃぶじゃぶ濡らして、風がビャウとかグォーとかすごい鳴き声を上げていた。
窓の向こうを、Tシャツやスーパーの袋、折れた傘が飛んでいく。誰かんちの犬や猫が飛んで、隣の家の進くんやその隣の家のユキちゃんが飛んで、どこかのサラリーマンや郵便配達のおじさん、買い物袋を下げたおばさんが飛んで行った。空では、飛ばされた人たちが洗濯されているみたいにぐるぐる回っている。そのうち風が止んで、皆は近くの木や物干し竿にぶら下がった。いつのまにか嘘みたいに青空が広がって太陽の光が差している。犬も猫も進くんもユキちゃんもおじさんもおばさんも並んで干されて、洗い立てのタオルみたいにふかふかになった。
ポーンと玄関のチャイムが鳴る。お母さんが仕事から帰って来た。側に行くとふんわり温かくて太陽の匂いがした。
その他
公開:18/09/05 07:56
更新:18/09/05 09:29

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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