クロックマン リターンズ

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カチカチカチ…コチコチコチ…
クロックマンがやって来るよ…
そんなフレーズを思い出したのは児童公園からの帰り道。友達と喧嘩して酷いことを言ってしまったことを悔やみながら秋寒い黄昏に向かって俯き歩いていた。
カチコチ…カチコチ…
秒針の音が頭の中でリズム立つ。
あれはどんな話だったっけ?
幼い頃、クロックマンの本を読み聞かされ。あまりに僕が泣き怖がったものだから母さんが家の時計を全部止めてくれたのを覚えている。
カチカチ…コチコ…
変だ、と思ったのは住宅街で。誰も車もいない静寂の中で秒針の音だけ際立ち始め…ヒッ!と金縛った。
前から細いスーツ姿のクロックマンがどんどん歩み寄って来る。
カチコチ…カチコチ…
その胸に大穴がポッカリ。ネジ巻き懐中時計が浮いていた。
結末が思い出せない。もうダメだと身竦めたすれ違い際。
「巻き直すかい?」
ザッと吹いた秋風に攫われて、僕は児童公園に時戻されていた。
ファンタジー
公開:18/11/24 17:47
更新:18/11/26 15:52

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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