カーテンコール２

いつもの朝
込み合う車内と眠そうなアナウンス
三つ目の駅から
時計の音を合図に乗り込んで行く私
いたいた　私の退屈しのぎ君

ここから二駅
最高に間抜けで笑えるの
鏡よ鏡
毎日決まって同じ窓とにらめっこ
ガラスに反射した私を観察する君を観賞する私
どんなに乗客が動いても
君の視線は私に釘付け
お陰でこっちは探すまでもないわ

見慣れた坂に差し掛かると
わざと歩調をゆるめるでしょう
上りきった所で私が追い付くから
『おはよう』って声掛けると体半分振り向いて
はいここでポーズ
四文字の台詞にどこまで全力なの

力んで棒読みの『オハヨウ』に愛想笑いを投げ
私は仲良し達の所へフェイドアウト
また後ろで溜息ついた
手を振り掛けて慌てて戻すのもまる判り

以上　題するなら『ビビリの片想い』
主演は君
監督と脚本演出と一応相手役と観客は私
もうおかしくてしょうがないから
明日も退屈しのぎに声掛けてやろう