くもりぞらのほしぞら。

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「今日は双子座流星群の極大です。雲も少なく新月のため、天体観測にはぴったりの夜になるでしょう!」

寒空の下、広いだけが取り柄の公園でブランケットにくるまり、妻と娘の陽子の3人で空を見上げているのだが…
あの天気予報は何だったのか、空はどんよりとした雲に覆われていた。

「今日は星、見えんかもしれんなぁ…」と呟くと
「おほしさまみえんの?」と陽子が私を見た。
私が頷くと陽子は「おほしさまのでんちがきれたんやね」とぽそっと呟いた。
「違うんよ、雲がお星様を隠しとるけん見えんのよ」と妻は笑うが
「じゃあ、でんちがないおほしさまをみたらみんながかなしむけん、くもがかくしてくれてるんやね。やさしいねぇ。」
と陽子はケタケタ笑いながら言った。

何だか星よりも大切なものが見えた気がして
「明日には充電が終わっとるやろうけん、また明日来ようか」と妻と陽子に笑いかけると、2人も頷き、笑った。
その他
公開:18/11/26 00:33
更新:18/12/05 00:51
家族

相沢 鮎( 愛媛 )

ショートショート初心者です。優しくない人間だから優しい物語を作りたい。

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