言葉の森

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木々が生い茂る森の奥に、淼として広がる凪の水たまりがあり、犇く牛たちの面倒を見ずに女たちが姦しく騒いでいる。
視線の先には一つの水晶の花があり、煌びやかな蕊が美しい。皆々欲しがりながら口には出さずに、子らのように孨しみながら虎視眈々と見つめている。
そこに飆と犬のような気安さで絡め取るつむじ風。水晶の花は空へと舞った。燦々と焱のように輝きながら飛んでいく先は、磊々とした不毛の大地であった。
そこへ花は矗とそびえ立つ。耳元に囁きかけるような音色とともに、根元からこんこんと灥が湧きいでた。よってここは淼の森と呼ばれる。広々とどこまでも光と音に満ちている。

水晶の花が見たいか。そればかりは叶わない。矗と灥に根付いたその花は、淼の森の中に隠れている。
ファンタジー
公開:18/11/26 00:02
昔書いて封印してました。 最早本人にも読めない 同じ漢字三つ縛りの 読みやすさ無視の小噺です

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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