空の話

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「フランクル、明日ついに旅立つよ。」
 そうアイスブルーの瞳を輝かせてベンヤミンは言う。
 いつも吸い込まれそうなそのアイスブルーの煌めきに魅了されっぱなしだ。彼の言うことは大胆な提案であっても輝く瞳によって説得力を大きくかさ上げされる。少なくとも自分にはそうだ。
 数ヶ月前超光速航法による動物実験が無事成功し、ついに人間が超長距離星間移動に挑む日が来たのだ。
「ああ、人類初の体験を楽しんでこいよ。」
「11光年先の宇宙の映像楽しみに待っておけよ。」

 翌日各星々の多くの人々が拍手喝采を送る中、宇宙に浮かぶベンヤミンたちの乗った船は彼方へと虚空へと消え旅立っていった。
 無事かどうかは数時間後にはわかることだ。落ち着け。
 識者による解説が続く立体テレビジョンを見ていたソファから離れ、窓を開ける。ベンヤミンの瞳を思わせる快晴に晴れ渡った美しい空だった。
その他
公開:18/11/25 22:28
月の音色 月の文学館

ひさみん

ショートショートというよりも短編小説、掌編小説という感じになってしまうかもしれません。
自分のペースでやっていこうと思っております。
ショートショート・ガーデンにアクセスする頻度は高くありません。
1回のアクセスで多くても10作品見るかどうかです。すみません。

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