頼んだよ
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やっと特別養子縁組が完了した。
長かった。面談があったり、提出書類が多かったり。
でもやっと、目の前のかわいい赤ちゃんが私達の子供になってくれた。
施設の前に捨てられていたというこの子のそばには、ぴったりと一匹の白い猫が寄り添って、なかなか離れなかったと聞いた。
ある日のお昼前、日光浴をさせようと思い、赤ちゃんを抱いて庭に出た。
首が座って、目にうつるものすべてに興味津々な赤ちゃんは、キョロキョロと辺りを見回してから、庭の隅で視線を止めた。私がその視線の先を追うと・・・・・・白い猫。
赤ちゃんから離れようとしなかった猫なのだろうか。厳しい瞳で私を見つめている。私がこの子の母親としてふさわしいか見極めている。
すると、私に抱かれていた赤ちゃんがキャハッと機嫌良く笑った。
私が赤ちゃんに視線を戻したその瞬間だった。
「頼んだよ。」
頭の中に誰かの声がした。
もう猫はいなかった。
長かった。面談があったり、提出書類が多かったり。
でもやっと、目の前のかわいい赤ちゃんが私達の子供になってくれた。
施設の前に捨てられていたというこの子のそばには、ぴったりと一匹の白い猫が寄り添って、なかなか離れなかったと聞いた。
ある日のお昼前、日光浴をさせようと思い、赤ちゃんを抱いて庭に出た。
首が座って、目にうつるものすべてに興味津々な赤ちゃんは、キョロキョロと辺りを見回してから、庭の隅で視線を止めた。私がその視線の先を追うと・・・・・・白い猫。
赤ちゃんから離れようとしなかった猫なのだろうか。厳しい瞳で私を見つめている。私がこの子の母親としてふさわしいか見極めている。
すると、私に抱かれていた赤ちゃんがキャハッと機嫌良く笑った。
私が赤ちゃんに視線を戻したその瞬間だった。
「頼んだよ。」
頭の中に誰かの声がした。
もう猫はいなかった。
ファンタジー
公開:18/11/25 14:53
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