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心電図の波形がいっそう弱くなった。
「じいちゃん……」
医師が首を横に振る。
諦めかけたそのとき、祖父のまぶたがゆっくり開いた。

「じいちゃん?」
「……マサシ。お前に伝えたいことがある」
僕を見据えてはっきりとした口調で言った。
両親が驚いた様子で顔を見合わせている。
医師も慌てて眼鏡を掛け直した。

「よく聞け。マサシ」
「じいちゃん!」
「これが、ワシの最後の言葉じゃ」
僕は息をのんだ。

「いいか、ポテトチップスはな……」
「……じいちゃん?」
「半分くらい食べて、翌日に取っておいたりしがちだが……」
「じいちゃん??」
「これでもかってくらいガッチガチに封をしとかないと、嘘みたいにしなしなになるから気を付けるんじゃぞ」
ガクッ
「じいちゃーーーん!!」

当時は、他に伝えるべきことがあるだろと思ったものだが
おかげで今日もポテトチップスはパリパリだ。

ありがとう。じいちゃん。
その他
公開:18/11/22 22:35
更新:18/11/23 02:08

UBEBE

おっさんになりましたが、夢は追い続けます

「小説は短く、人生は永く」

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