地獄のアーケード

14
12

やっと地獄を卒業した。

下界行きの駅前に、美しい花屋があると噂に聞いていた。
俺は地獄の番人に尋ねてみた。
「それならアーケードにあるぜ」
俺は番人から聞いた道を辿りアーケードに着いた。
だが、そのアーケードには「花」はなかった。
「お兄さん。いい鼻揃ってるよー!」
店員が声をかけてきた。
店内をチラと覗くと、陳列棚には、人間の鼻が脈絡と並んでいた。
「その鼻じゃねぇよ!」
「じゃあ、どの鼻をお求めで?」
「もっと綺麗な美しい花だ!」
「ならこちらのイタリア人の鼻はいかがでしょう」
話が噛み合わないまま、俺はイタリア人の鼻を勧められた。
「来世はこの鼻でモテること間違いなしですよ、お客さん」
「馬鹿馬鹿しい」
俺は鼻を試着してみた。
「これください」

そして俺は生まれ変わった。
両親に見守られ産声を上げたのだ。

「ず、ずいぶん鼻が立派だなぁ」
「そ、そうねぇ」

サイズそのままかよ!
ファンタジー
公開:18/11/22 22:34
スクー お花見アーケード 地獄

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容