事故満足

「高木さん、また入院ですか…最初は酔っぱらいに絡まれている女性を助けた時にビール瓶で殴られ入院。次は川で溺れていた子供を助けようとして、川の底が浅かったことで骨折入院。で、今回は車に轢かれそうだった子犬を助けようとして入院。人助けの自己満足もいい加減にしてください」
医者に怒られてしまった…とはいえ、ヒーローに憧れていた私は人助けをやめられない。
自己満足と言われようとも私はこれからも人助けを続けるだろう。
「高木さん、また入院ですって？良かった。ここにいる間は怪我をする心配もないから私も安心です」
そう笑いかけてくるのは以前私が酔っ払いから助けた女性だ。
「今回はウチの弟がすみません。ポチを助けてくれてありがとうございます」
しかも今日助けた犬は彼女の飼い犬だ。そして川で溺れていた子供は彼女の弟だ。
いくつもの偶然が重なり、僕らは出会い、のちに結婚するに至った。
だから僕は満足している。