初めての夜

4
4

私は幼馴染に殺され、蘇って神になった。今、目の前に私を殺した男が横たわり静かな寝息をたてている。
私は真昼が続く世界を作ったが、この男は黙って夜の闇を求めた。今夜、初めて私は自分の世界に夜を作った。不思議と心が鎮まる。だが、悲しい。
お前は分かってくれると思っていた。誰よりも長く共に過ごしたから、お前と競い合い成功し豊かになるのが夢だった。幼い頃より周囲よりも秀でていた私は、優越感の中でも孤独だった。お前だけが隣にいて切磋琢磨出来ていると信じていた。
私のたった一人への信頼を裏切って、なぜ私を殺したんだ。あんななぶり殺すようなやり方で。
この気持ちは恨みなのか、嘆きなのか、失った友情への未練なのか。
はっきり分かるのは、私はこの男に情があった。故郷、子供時代、青春時代、この男は私の一部だったのだ。
ファンタジー
公開:18/11/21 12:00

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容