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私は幼馴染に殺された。だが、蘇って神となり一つの世界を支配している。
夜の無い世界。緑が絶え間なく育つ世界。それが私の世界だ。

暗い森の奥、ひと所だけ木々が除かれ光が空からまっすぐ差し込む。そこに掘られた穴に私を殺した男がいる。穴の底に男が。そして私はそいつを上から見下ろす。私は時折、男に果物を投げ込む。男は黙ってそれを食う。
私が果実を放り込んでも、数日間は飲まず食わずでいたが、そんなことをしても死ねないと悟ったのだ。死ぬことが出来ないなら、空腹を抱えているよりは、施し物を食べた方がマシだろう。
この数日、男は横穴を掘っている。暗闇で眠るために影が欲しいという。馬鹿な奴だ。せっかく夜の無い世界を作ったのに。邪悪な心にを持つ人間には、昼が続くのが辛いのか。
身を隠せるくらいの横穴を掘り終えたところで、私はそれをそっとひと撫でして埋めた。
男は一瞬愕然としたが、また黙々と横穴を掘り始めた。
ファンタジー
公開:18/11/20 21:17
更新:19/01/03 17:33

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