花の誘い

ある日突然、街の片隅にアーケードが現れた。
外から覗いた印象は、何も無さそうだが。

ある日、知り合い数人を引き連れて、その中に入ってみることにした。

一歩、足を踏み入れる。

ざぁっ。

後ろから吹き込む風に押されて、思わず前に倒れかける。
あぶねぇ、とかなんとか呟きながら顔を上げる。

目を疑った。
一面に、春夏秋冬様々な草花が咲き乱れている。
先ほど、中に入る前まで見えていた景色はどこにもない。別世界にやってきたみたいだ。
花の香りはそれぞれ別々に鼻腔に届いて、お互いの芳香を邪魔しない。

せっかくなので他の知り合いも呼ぶ。小さな宴会を始めることにした。
それを聞きつけた人たちも次々とやってきて、それはもう賑やかになった。

僕は、日頃から疲れが溜まっていたのか、いつの間にか眠ていた。



おお。今日も大量だな。

大男は、罠にかかった人間を取り出し、満足そうに立ち去って行った。