寝込む

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マリさんは泥棒だ。
この三日、マリさんは帰ってきていない。僕は寂しさに身を震わせている。いや、寒さのせいだ、と思って温かいひとり鍋を用意した。でも、孤独が身に染みたのか食欲がない。
早めにベッドに入ったら、夜中に熱が上がって朝にはすっかり病人だった。薄眼をあけて朝日が差し込む窓を見る。マリさんが帰ってこないか、と。
僕はそのまま三日寝込んだ。時折、額に何かひんやりとした物が触れた気がして目を開けても、ただの夢だった。
やっと快復したところにマリさんが帰ってきた。
「おかえり」と、僕は何事もなかったような顔をしてマリさんを迎える。マリさんは息をゼーゼーいわせながら「ただいま」と言って、ベッドに倒れ込んだ。
僕はスポーツドリンクや熱さましを用意して、それはそれは甲斐甲斐しく看病した。これは全部僕がして欲しかったことだ。

マリさんは泥棒だ。
マリさんに出会って、僕は欲深くなっていく。
ファンタジー
公開:18/11/22 13:08
更新:19/01/26 21:35

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