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ここは楽園だ。
望めばなんでも手に入るし、おれにできないことは何一つない。
1年ほど前に会社を興し大成功。今まで誰も想像もしなかったようなサービスを提供し、一躍時の人となった。
半年前には酒池肉林の大パーティー。女たちは俺にすべてを差し出し、男たちは羨望の眼差しでおれを見た。
先月には絶世の美女と二人きりで地中海をクルージング。


さて今日は何をしようかと、やりたいことを思い浮かべるが上手くいかない。
そんな時に限って警報が鳴り、おれを現実へと連れ戻す。
アラートを確認したが、ただの計器の誤作動のようだ。
まったく、いくら技術が進歩しても誤作動は避けられないのだな。
宇宙へ行くのに訓練が必要なくなって、代わりに途方もなく長い船旅に耐えられる妄想力を持った人だけが人類の未来を担う世界になったというのに。
アラート解除のスイッチを押し、俺はまた夢へと意識を手放した。
SF
公開:18/11/22 01:50

のらくら

のらりくらり、のんびりまったり。
ゆるゆる~っと書かせていただくので良ければご一読くださいな。

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