マサとユウヒン

4
4

私を殺した男に呪いをかけた。私がそいつを許すまで死ねない、という呪いを。
「マサ!」
目の前で倒れた幼馴染を私は抱き抱え名前を呼んだ。何千年ぶりかに、マサの名前を呼んだ。
「死なないでくれ。お前に分かって欲しかったんだ。誰も私の理想を信じなくても、お前だけには」
マサがかすれた声でささやいた。
「ユウヒン、お前はいつも優秀だった。お前がお前自身に厳しかったから成し遂げたことだ。お前は必ず天界一の神にならなくては。この世界は必ず天界一の美しい世界と称えられなくては。お前の理想は必ず届かなければ。かならずかならず…」
私を殺したマサが、私の腕の中で息をひきとった。

どんなに美しい世界も素晴らしい人間も神の力も、お前なしで何になるのか。


***完***
ファンタジー
公開:18/11/21 12:44
更新:18/11/21 12:45

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容