古い街

かつて人間だった私は、神になり極上の美しい世界を作り上げた。人びとは互いを労わり合い、助け合い日を送っていく。

そんな世界に一つだけ人が妬みやそねみに苦しむ街がある。私が旧世界から移した、私の故郷の街だ。

苦しい。苦しい。
あの街がある限り、私の苦しみは終わらない。
けれど、美しいばかりの世界もわたしを癒してはくれない。
なぜ…。

私は時に故郷の街を訪れる。私に恨まれて何千年も死ぬことの出来ない人々は慣れ切った態度で神である私と言葉を交わす。
ある日、私を殺した幼馴染が私に声を掛けた。私たちは町の外れ、雪を頂く山脈が一番綺麗に見える丘にふたりで向かった。