人形の秘密

町外れに一軒の玩具会社があった。
見るからに今にも潰れそうな会社である。
しかし、ある時、その会社が売り出した人形が大ヒットした。社長はそのお金で借金を返済し、自社ビルを建てた。
でも、ここで問題が起こった。
社員二人が自分に利益を受け取る権利があると言い出したのだ。
その一人、A子は「私がこの人形の産みの親だ。だから利益の半分をよこせ」と主張した。
もう一人のB子は「私がこの周りから見向きもされなかった人形を国民に広め、人気スターにまでのし上がらせたのだ。つまり、私はこの人形の育ての親なの。だから、儲けの半分を払って」と主張した。
二人の意見は真っ向から対立した。
そこで社長はこう提案した。
「A君、B君、この人形の腕を同時に思いっきり引っ張りなさい。先にこの人形を手にしたものに利益を受け取る権利がある」
二人は社長の提案に同意し、思いっきり人形の腕を引っ張った。その結果、藁が千切れた