ブリッジ発想法

作家とは名ばかり、全く著作が売れず、胡散臭い商品の紹介記事を書いたりする毎日。
そんな依頼の中に、なぜか目を引くものを発見した俺は、つい購入してしまった。
それは「ブリッジ発想法手帳」といい、書き出しと結末を記入すると、ブリッジ=橋を掛けるように間の文章を全て埋めてくれ、ベストセラーが必ず書ける、という手帳だった。
藁にもすがる思いで飛び付くと、すぐにバカ売れ、「ありがたいブライアン」はシリーズ化、「宇宙観覧車」は映画化もされた。
ただ、売れたのも束の間「ブライアン」シリーズはsnsで大炎上、「宇宙観覧車」は映画が大コケ。製作に参加しており、全て失った俺
は、発売元に怒鳴り込みに行った。
すると担当者は「橋を掛けるにはしっかりとした土台が必要です。土台がいい加減だと立派な橋でも災害に弱いもの。失礼ながらお客様の小説も同様なのでは」
どおりでプロットのない俺の小説は炎上災害に弱いわけだ