濡れ衣

22
28

試着室を出ると警官がいた。
やられた。事態を理解して汗が噴き出す。
「僕じゃないんです、と言っても無駄なんでしょうね」
警官を見ると、同情の眼差し。
『しょうがないよね。きみ、着ちゃってるから』
そうなのだ。これは僕の不注意。
服がびしょびしょなのは汗のせいじゃない。

濡れ衣を、着せられた。

僕は走り出した。乾く前に真犯人を捕まえないと、手遅れになる。
デパートを駆け回り、すぐに見つけた。
後ろからで顔は見えないが、そいつは派手なボーダーの服を着ていた。
僕は濡れ衣を脱ぎ、投げつけた。見事、背中に絡みつく。
真犯人は自分の罪を背負ったのだった。

『お手柄ですね』
警官が言った。ところで、いったい何の罪だったんだろう?
『女性の心を次々盗んだ窃盗罪です』
なんだそのオシャレ泥棒は。
『なぜあいつが犯人だとわかったんですか?』
そんなの簡単だ。彼の服が柄の悪い、よこしまだったから。
ミステリー・推理
公開:18/11/18 02:46
更新:22/06/01 18:19

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容