募友

町で「募友お願いします」と声をかけられた。なんだそりゃ？
「募金って知っていますよね。それと同じで友を募っているんです」
意味が分からない。そんなことをしてどうするんだ？
「そりゃ、募金と同じく友に恵まれない人に渡します。貴方の携帯にも入っているんじゃないですか？もう、長年連絡を取っておらず、会うこともないという友が」
そりゃ１人や２人いる。それをどうすればいいんだ。
「簡単です。この用紙にもう会わない友の名前を書いて、この箱の中に入れてください」
変なことを考える奴もいるもんだ。
俺は面白半分で最近会っていない友の名を書いた。

数日後、俺は偶然にもその友に会った。２年ぶりか。
気軽に声をかける俺に友は怪訝な顔をする。俺が分からないのか？
すると友は俺の後ろに目を向け、俺の名を呼ぶ。
そこには募友をしていた男がいた。
そいつは俺を見ると微笑んだ。
「今や私が貴方の代わりに彼の友です」