果実

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私は神だ。かつての様な無力なただの人ではない。
私は今、昔私を殺した男を指二本で摘み上げている。そいつを深い森へ連れて行った。森の奥には、奇妙な生き物が掘った穴がある。そこに男を投げ入れた。
私の世界には、日が沈む夜の時間がない。けれども木々が茂る森の奥は暗い。暗闇など私には相応しくない。両手で木々を薙ぎ払うと、穴と男に光が射した。
倒れた木々から大きな赤い実が落ちた。ひと口齧ると甘い汁が滴り落ちる。
果実を一つ、男に投げてやる。

自分が殺した人物から与えられる食事はどんな味だ?
ファンタジー
公開:18/11/17 18:11
更新:19/01/03 17:27

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