水浴び

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神になり、一つの世界を育てている。私の世界は美しい。青々とした草原、雪を頂く山々、緑の深い森。
谷間の滝で、私は水浴びをしていた。昔、わたしを殺した人々と対面した。やはり疲れた。どうしたら奴らに分からせることが出来るだろうか。彼奴らの顔も息遣いも脳裏を離れない。恋よりも激しい執着に、胸が苦しめられている。
肌を撫でて、気持ちを鎮めよう。水に濡れた髪をかきあげ、過ぎたことは忘れよう。
ドクンドクン。心はままならず、鼓動は高鳴るばかりだ。
乱暴に服を掻き集め、私はふたたび街へ向かった。
街は、夜の時間だった。この世界には闇の覆う夜はない。いつも光に包まれている。だが、街の人々は「夜」という時間を定めたらしい。道に人影はなく、寝息だけが家々の中でから聞こえる。
私は一軒の家に入り、寝床にいる男を指二本で摘み上げた。男は目を覚まし、私が誰かが分かると恐怖で声もあげられずにひきつった。
ファンタジー
公開:18/11/17 16:44
更新:18/11/17 18:05

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