骨骨愛す

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商店街を歩いていた節子は整体サロンの奥に人体模型を見つけ、胸をときめかせた。自分でも説明がつかないほど、骨が好きだ。だから放射線技師になった。

運命の人と出会うと鐘の音が聞こえると言うが、節子は確かに自らの骨がポキと鳴る音を聞いた。レントゲン写真に写る、申し分のない理想の骨格。節子はこの骨を自分のものにしたいと思い、積極的にアタックし、見事その男を射止めて結婚した。
憧れの骨格の男と結婚した節子だったが、せっかくの骨格が肉や皮で見えないことに不満を募らせた。
節子は男の食事に睡眠薬を混ぜ、寝ている間に首を絞めた。骨に傷がつかぬように、注意して内蔵や筋肉を取り除く。
浴槽を大きく作って良かったと節子はほくそ笑んだ。風呂に沸かした湯に炭酸ナトリウムを入れ、気長に煮込む。時々シャワーで流してブラシで磨く。
(やっと会えた)節子は服を脱ぐと白骨を抱きしめながら、炭酸ナトリウムの海に沈んだ。
ホラー
公開:18/11/16 16:51
更新:19/05/27 15:51

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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