夢:テディの革財布

仔グマのテディはある朝、おかしなことに気がつきました。自分が真っ暗なところに閉じ込められていたからです。外では何やら男たちの話し声。
「これは一体なんだろう」
一直線に光が入り、覗きこむ男が見えます。
「クマだ！」
その時、テディは初めて自分が革財布にされていると気がつきました。背中が切り開かれ、上等な毛皮の財布になっているのです。テディは困り、泣きました。
「助けて、元に戻して！」
大人たちは、誰がこんなひどいイタズラを、と気味悪がるばかり。誰も手を差し伸べません。
「可愛い！触らせて！」
子どもたちは面白がってファスナーを開けたり閉じたり抱きしめたり。テディは目が白黒です。
「ママ！助けて！」
背中が重いよ、怖いよ、助けてよ。
「ママはいるよ。見えないけれど」
女の子がテディのチャックを閉めます。音を立てて真っ暗になります。
きっとこれは夢に違いない 。テディは眠りに落ちました。